はじめに──こんなあなたに届けたい記事です
日常のざわざわから抜け出したくて、でも派手なリゾートじゃなく、どこか懐かしくてしっとりした場所に行きたい。そんな気持ち、ありませんか。私はいつもそう思っています。
今回ご紹介する鳥取県・三朝温泉と倉吉周辺は、まさにそんな願いを叶えてくれる場所なんです。温泉に浸かりながら心の底からリセットしたいカップル、湯治気分でじっくり体を休めたい方、歴史的な建物や文化財に惹かれる大人旅好きの方──みんなにぴったりの宿が揃っています。
この記事では、三徳山三佛寺投入堂、倉吉白壁土蔵群、三朝温泉の河原風呂、中国庭園燕趙園といった見どころを擁する鳥取中部エリアを拠点に、宿を5軒厳選してご紹介します。どの宿を選べばよいか、アクセスはどうすれば良いか、料金感はどのくらいかまで、すべてこの記事を読めばわかるようになっています。
三朝温泉・倉吉エリアはこんな場所
鳥取県のほぼ中央に位置する三朝町は、三朝川という清流のほとりに温泉街が広がる、開湯850年以上の歴史を持つ温泉地です。「三たび朝を迎えると元気になる」という言葉が名前の由来といわれ、古くから治療と保養の地として全国から人が訪れてきました。
この温泉の最大の特徴は、世界有数のラドン含有量を誇るラジウム温泉であること。泉質は放射能泉で、「浸かってよし、飲んでよし、吸ってよし」と称されます。湯気を吸い込むだけでも効果があるとされ、新陳代謝の促進や免疫力・自然治癒力を高める「ホルミシス効果」が期待されています。与謝野鉄幹や与謝野晶子をはじめとする文人墨客たちにも愛された場所で、2016年には日本遺産にも認定されました。
車で20分ほど走れば、倉吉市の白壁土蔵群が広がります。江戸時代の風情をそのまま残す赤瓦の屋根と白壁の土蔵が立ち並び、散策するだけで時間を忘れてしまうような美しさです。また、断崖絶壁の岩窟に建つ国宝の建物として有名な三德山三佛寺投入堂も車でほどなくのところにあり、その神秘的な光景は一生の記憶に残ります。さらに、燕趙園は中国河北省の庭園様式を忠実に再現した中国式庭園で、異国情緒あふれる体験ができます。
エリアへのアクセス・行き方
電車・バスの場合
東京や大阪から来る場合、まずJR倉吉駅を目指します。東京からは羽田空港から鳥取空港まで飛行機で約1時間10分、その後リムジンバスで倉吉駅まで約50分です。大阪からは特急スーパーはくとで倉吉駅まで約2時間40分が便利です。
倉吉駅からは日ノ丸バスの三朝温泉行きに乗車し、約20~30分で三朝温泉バス停に到着します。各旅館への送迎サービスがある宿も多いので、事前予約をしておくとよりスムーズです。
車の場合
中国自動車道・院庄ICから国道179号線を倉吉方面へ進み、三朝温泉まで約50~60分が目安です。米子自動車道・湯原ICからは国道313号線経由で約40分ほどです。各旅館に無料駐車場が用意されていることがほとんどです。
三朝温泉・倉吉周辺おすすめ宿5選
有形文化財の湯宿 旅館大橋──昭和7年創業、ほぼ全館が国の登録有形文化財
三朝温泉でまず名前が挙がる宿といえば、この旅館大橋ではないでしょうか。昭和7年に「日本建築として最高のものを」という一念から完成したこの宿は、現代では手に入れることのできない近郊各地の銘木を集め、その風格は今もまったく色あせていません。平成9年に本館・離れ・西離れ・大広間・太鼓橋の5箇所が国の登録有形文化財に指定され、ほぼ全館が文化財という全国でも非常に稀な宿なんです。
客室はひとつとして同じ造りがなく、宮大工が三徳川や新緑の森が眺められるよう丹念に作り上げた部屋ばかりです。部屋の名前は木の名前から取られており、「松の間」には松の木、「南天の間」には南天の木がふんだんに使われているというこだわりぶり。波打つガラスや傘天井など、あちこちに職人の遊び心が散りばめられていて、館内を探検するのも楽しみのひとつです。
温泉は自家源泉5か所のうち3か所が自噴泉の完全かけ流しというのも、この宿の大きな魅力です。なかでも名物の「巌窟の湯」は圧巻で、三徳川の川底に温泉が湧き出していたものをそのまま湯船にしたという天然岩風呂。3つの湯船からそれぞれ温泉が自然に噴き出し、下の湯・中の湯はラジウム泉、上の湯は三朝温泉では旅館大橋だけが持つトリウム泉という希少な温泉が楽しめます。足元からゴボッゴボッと湧き出てくる感覚は、一度体験したら忘れられないはずです。
夕食は山陰の山海の幸を使った創作会席料理。繊細かつ丁寧に作られた料理は、できたてを運んでもらえるので温かいものは温かく、冷たいものは冷たいままいただけます。鳥取和牛や冬季の蟹すき鍋なども人気が高く、料理長が腕を振るう一品一品に心が躍ります。
アクセス: JR倉吉駅からバスで約20分、または倉吉駅から無料送迎あり(前日までの事前予約が必要)。車の場合は中国道・院庄ICから約55分。 チェックイン: 15:00~18:00、チェックアウト: 10:00 料金の目安: 2名合計で24,200円~162,800円程度 駐車場: 30台・無料
木屋旅館──明治元年創業、全館が国指定登録有形文化財の湯治場
「ここは温泉ワンダーランドだ」という宿泊者の声が象徴するように、木屋旅館の温泉体験は他に類を見ません。江戸時代から庄屋だった家が明治元年に旅館専業となり、以来150年以上にわたり三朝のラジウム温泉とともに歩んできた宿です。全館が国指定登録有形文化財に指定されており、明治・大正・昭和時代を感じる艶やかな木造美が館内のいたるところに息づいています。
温泉の種類の豊富さが本当にすごいんです。源泉かけ流しの大浴場はもちろん、足元からフツフツと湧き出る自噴泉を体感できる「楽泉の湯」、高濃度のラドンを吸入できるミストサウナ、寝転ぶだけで体がポカポカするオンドル、そして貸切風呂と、24時間いつでも自由に入れる多彩な湯処が揃っています。オーストリアのパラケルスス医科大学の博士にその効能を認められた泉質は、免疫力を高めたい方や湯治を目的とした滞在にもぴったりです。
宿を彩るアクティビティも見逃せません。三徳山投入堂参拝ツアーのガイドがいる宿として知られており、山陰の大自然をガイドと一緒に歩くことができます。藍染体験、オンドルヨガなども楽しめ、心と体を多角的に癒してくれます。
料理は契約農家の野菜や日本海の鮮魚を中心に、安全・安心な厳選食材を使用。のどぐろの煮付けや鳥取和牛しゃぶしゃぶ、幻の三朝米など、地元の恵みをたっぷり味わえます。夕食は個室で提供されるのもうれしいポイントです。館内には囲炉裏を配した休憩処もあり、ゆったりとした時間が流れます。
アクセス: 鳥取空港から直通バスで三朝温泉へ、バス停から徒歩約2分。JR倉吉駅からの無料送迎あり(前日までの事前予約が必要)。車の場合は中国道・院庄ICから約40分。 チェックイン: 15:00~18:00、チェックアウト: 10:00 料金の目安: 2名合計で37,400円~84,700円程度 客室数: 14室 駐車場: 14台・無料
依山楼岩崎──大正9年創業、皇族や文人墨客が愛した名宿
三朝温泉が全国にその名を知られるようになった大正9年に創業し、100年以上の歴史を紡ぐ老舗の名旅館です。皇族や与謝野晶子など数多くの文人墨客に愛された宿としても知られており、館内の「ぎゃらりぃ岩崎」にはそうした思い出の品々が今も大切に保管されています。
この宿の最大の見どころは、回遊式大庭園風呂「山の湯」です。「左の湯」には庭園露天風呂「逢水の湯」と檜の大浴場「逢山の湯」などが配され、「右の湯」には庭園を中心に趣の異なる岩風呂などが並ぶ、野趣あふれる大庭園風呂を楽しめます。早朝5時に男女が入れ替わるので、両方の湯をじっくり体験できるのも魅力のひとつ。春の桜、初夏の若葉、秋の紅葉、冬の雪景色と、四季折々の庭園の表情を眺めながらの湯浴みは贅沢のひとことです。
特別室「桜川」や「音羽」「呉竹」「若竹」などの貴賓室には、温泉に浸かりながら三徳川と温泉街が望める客室露天風呂が付いています。洗練された和の趣きの中で、川のせせらぎと温泉の香りに包まれる体験は、日常から完全に切り離された時間をもたらしてくれます。
料理は東京羽田空港から飛行機でわずか約2時間半でアクセスできる三朝で、山陰ならではの食材を堪能できます。個室料亭「茶寮花野」での懐石は、「量より質」のコンセプトのもと、素材の持ち味を丁寧に引き出した料理が並びます。季節の食材をふんだんに使った献立は、食べることを改めて大切にしたいと思わせてくれる時間です。
アクセス: JR倉吉駅から専用送迎バスで約20分(前日までの事前予約が必要。14時20分~18時の各便が運行)。車の場合は中国道・院庄ICから約60分、山陰道・泊東郷ICから約20分。 チェックイン: 15:00、チェックアウト: 11:00 料金の目安: 2名合計で15,950円~の各種プラン 駐車場: 無料
三朝温泉 三朝館──3本の自家源泉を持つ、千坪日本庭園風呂が圧巻の宿
三朝随一の湯量を誇るという三朝館は、敷地内に3本の自家源泉を持ち、源泉かけ流しの多彩なお風呂が揃う宿です。館内への一歩を踏み入れると、まず滝の流れる日本庭園が出迎えてくれます。12の湯処のうち、千坪にわたる日本庭園風呂は圧巻のスケールで、温泉旅館の大浴場という概念を軽く超えてきます。山陰最大級の2つの貸切露天風呂や足湯、長寿の飲泉も揃い、「浸かってよし、飲んでよし、吸ってよし」の三朝温泉をあらゆる形で体験できます。
客室は和室を中心に、四季折々の自然の表情をゆっくり眺められるよう設えられています。喧騒から離れた安らぎの空間という言葉がぴったりで、滞在中は時間の流れそのものがゆったりと感じられるはずです。
料理は地元素材を生かした旬のお料理が中心。2026年夏には旅館ビュッフェも人気を集めており、山陰の旬の食材を豊かな形で味わえます。「観・聴・香・味・触・心」の六感を癒す温泉地・三朝の哲学が、食卓にも丁寧に反映されています。
アクセス: JR倉吉駅からバスで約20分。または鳥取空港からリムジンバスで倉吉駅前まで約50分、その後タクシーで約15分。車の場合は中国道・院庄ICから約60分。 チェックイン: 15:00、チェックアウト: 10:00 駐車場: 無料
三朝薬師の湯 万翆楼──「現代湯治」をテーマに、料理と温泉の両方で高評価
三朝橋のたもとに位置する万翆楼は、「味の万翆楼」と呼ばれるほど料理に定評のある旅館です。3本の自家源泉を持ち、豊富なラジウム泉をかけ流しで楽しめます。宿の大きな特徴は、大浴場の天井をあえて低く設計することで、ラドンのミストを呼吸器から効果的に吸入できるようにした工夫。これが「現代湯治」のコンセプトにつながっており、**専属の「ラヂムリエ」**スタッフが温泉の効能や入浴方法をガイドしてくれるサービスも唯一無二の体験です。
料理のクオリティは口コミでも高評価が続いており、じゃらんnetの評価では朝食4.7・夕食4.8という非常に高い数字をキープしています。「食のみやこ鳥取県」名物料理コンテストで大賞を受賞した「モサ海老のクリームスープ」は、ここでしか味わえない名物の一品。東伯和牛、大山地鶏、日本海の旬の魚介、活鮑など、山陰の恵みが贅沢に並ぶ会席料理は、何を食べても満足感が高いと評判です。
スイートルームや露天風呂付き客室も充実しており、お部屋でプライベートな湯浴みを楽しみながら三朝の街並みを眺めるひとときは、この宿ならではの贅沢です。館内は清潔感があり、丁寧で温かな接客が「また来たい」を生み出しています。
2026年の最新情報として、鳥取県立美術館のチケットを特別価格で販売するなど、周辺観光との連携も積極的で、三朝温泉を起点にした旅の楽しみが広がります。
アクセス: JR倉吉駅からバスで三朝温泉バス停下車、徒歩約3分。または倉吉駅から無料送迎あり(要予約)。車の場合は中国道・院庄ICから約60分。 チェックイン: 15:00、チェックアウト: 10:00(プランにより11:00も) 料金の目安: 2名合計で26,400円~ 駐車場: 無料
宿泊と合わせて楽しみたい周辺スポット
三德山 三佛寺投入堂
「日本一危ない国宝」として有名な投入堂は、断崖絶壁の岩窟に建つ国宝の建物です。参拝には登山が必要で、わらじを履いて急峻な山道を登るスリルと、たどり着いたときの達成感は格別です。木屋旅館では三徳山ツアーのガイドが宿に常駐しており、一緒に案内してもらうことができます。挑戦してみたい方にはぜひおすすめの体験です。
倉吉白壁土蔵群
三朝温泉から車で約20分の倉吉市に広がる白壁土蔵群は、江戸時代の街並みが色濃く残る歴史地区。赤瓦の屋根と白漆喰の土蔵が連なる風景は、ゆっくり歩きながら写真を撮るだけで何時間でも過ごせます。カフェやクラフトショップも点在しており、お土産探しにもぴったりです。
三朝温泉の河原風呂
温泉街を流れる三朝川の河川敷に設けられた混浴の露天風呂で、地元の人も観光客も気軽に利用できる無料の温泉スポットです。入浴は水着着用推奨ですが、夏の夜に浴衣で温泉街を散歩しながら立ち寄るのが三朝流の楽しみ方のひとつです。温泉橋の中央にある縁結びのカジカガエルも忘れずに撫でてみてください。
中国庭園 燕趙園
鳥取県湯梨浜町にある中国式庭園で、中国・河北省の庭園様式を忠実に再現した珍しい施設です。朱塗りの建物と池、奇岩が織り成す独特の景観は、国内にいながら異国の旅気分を味わわせてくれます。三朝温泉からは車で約20分ほどのアクセスです。
料金・注意点・よくある質問
料金について
各宿の料金はプランや時期・人数によって大きく異なります。シーズンや特定イベント時は早めの予約が必要です。特に橋津屋 別邸 月代の2室は常に満室に近い状態が続いており、数か月前から予約を入れるのが理想的です。依山楼岩崎や旅館大橋、三朝館なども、松葉蟹シーズン(11月~3月頃)や大型連休は早々に埋まります。
送迎サービスについて
多くの旅館がJR倉吉駅からの無料送迎を行っていますが、前日までの事前予約が必要な場合がほとんどです。予約の際に到着時刻を伝えると手配をしてもらえます。路線バスの場合は1時間に1本程度の運行のため、事前に時刻表を確認しておくと安心です。
冬季の注意点
冬は山間部のため積雪の可能性があります。車でお越しの場合はスタッドレスタイヤや滑り止めの携行が必要になることがあります。一方、雪見風呂は格別の体験。冬の三朝温泉も、寒さの中でこそ際立つ魅力があります。
日帰り温泉について
三朝温泉では、宿泊だけでなく日帰りで温泉を楽しめる施設もあります。三朝橋のたもとにある「薬師の湯」は無料で足湯と飲泉が体験でき、気軽に三朝のラドン泉を楽しめます。河原風呂も無料で開放されており、旅の途中に立ち寄るだけでも十分に三朝温泉の空気を感じられます。
まとめ──三朝温泉・倉吉エリアで、本物の「非日常」に出会う
鳥取県・三朝温泉と倉吉エリアは、世界屈指のラドン泉と日本建築の美、そして山陰の豊かな食文化が重なり合う、他にはなかなかない旅の場所です。国の登録有形文化財に泊まる体験ができる旅館大橋や木屋旅館、大正から続く老舗の風格が漂う依山楼岩崎、現代湯治の最前線を走る万翆楼、1日2組限定の贅沢な時間が流れる橋津屋 別邸 月代──どの宿を選んでも、それぞれに深い魅力があります。
「せっかくの温泉旅行だから、泊まる宿もこだわりたい」そんな気持ちに、三朝温泉の旅館たちはきっと丁寧に応えてくれるはずです。どの宿も、スタッフの温かなもてなしと本物の泉質に自信を持って宿泊者を迎えています。
2026年の旅の候補に、ぜひ三朝温泉・倉吉エリアを加えてみてください。三徳川のせせらぎを聞きながら、温泉の湯気に包まれて過ごす夜は、きっと帰りたくなくなるほど心地よいはずです。
料金・営業情報は2026年4月時点の情報をもとにしています。最新の情報は各旅館に直接ご確認ください。

